カーポートを設置したいと考えたとき自分で組立てをするのは難しいので、工事を行っている業者を探されることが多いかと思います。
大切な車を守るものであり、安いお買いものでもないため、信頼できる販売業者・施工業者にお願いして安心できるカーポートが欲しいと考える方がほとんどではないでしょうか……
しかし、安心できるカーポートを手にするのは結構難しいことです。
なぜなら多くのカーポートは正しい工事方法で設置されていません。
そこで本日は、安心できるカーポートを手にすることが難しい理由、正しい工事が行われていないのはなぜか、そして本当に安心できるカーポートを手にするためにはどのようにすれば良いのかを解説していきます。
どのような工事が正しい工事で安心できるものなのかを「自分で判断できる」ようにしましょう!
この記事の目次
実は正しい方法で行われていないカーポート工事
カーポートなどの各エクステリア商品には、それらの製造メーカーが発行する「 施工要領書(施工基準) 」が用意されています。
基本的には正しい工事方法というのはこの基準に沿って組立てや作業が行われたものとなります。
しかしながら、その施工基準をしっかりと守った工事が極めて少ないのがエクステリア工事の現状です。
施工基準には「基礎コンクリートの大きさ」や「不具合を防ぐ細かな加工作業」などが指示されています。
現在世間で行われている工事は、半数以上は施工基準を遵守した工事が行われていないのではないかという感覚です。
実際に周囲のカーポートを確認してみましょう!
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正しい工事が行われていないといっても…
実例を見てみないことには、なかなか実感のわかない話題かと思います。
そこで「よくある施工基準に沿わない工事」を紹介します。すでに設置された周囲のカーポートがこのような施工がされていないかを実際に確認してみましょう。
① 基礎の寸法が小さい
カーポートの種類や設置条件によって基礎寸法(基礎の大きさ)は違いますが…
施工基準によるところの大きさは「最低でも35~40cmの四角形」です。
実際に寸法をメジャーで測ることは難しいかと思いますが、カーポートの柱が通常10cm前後ですので、柱と比較して二周り程度大きな基礎でなければ施工基準に沿った工事でない可能性が高いです。
② 柱がブロック壁などに寄っている(基礎の中心ではない)
基本的にはカーポートの柱の位置は基礎の中心とする必要があるため、写真のようにブロック壁にぴったり寄せて設置することはできません。
特殊な部材(偏芯基礎部材)を使用すれば基礎の中心にしないこともできますが、それでも6~8cm程度のすき間がブロック壁と柱の間には生じます。
このような施工は基礎が正常に効かず、カーポートの性能を下げる結果となります。
③ 水抜き穴がない
施工基準に沿った作業を行うと、上の写真のように柱の下部に「水抜き穴」を開ける必要があります。
これは、柱内に雨水などが侵入した場合に、内部に水が溜まらないようにするために設けます。
水抜き穴が無いと、内部の水が凍ったときに膨張して柱を損傷させたり、柱内を錆びさせてしまうことにつながります。
施工基準を守らない工事の問題点
カーポートなどのエクステリア商品を販売・施工する人たちの中には、
「 メーカーが指定する施工基準は大げさすぎる 」
「 施工要領書に書かれた基礎のサイズより小さくても設置できる 」
などの意見を持つ方もいらっしゃいます。
実際、メーカーの定めた基準を守らずともカーポートを設置することは可能です。そういった工事であっても、上手くすれば10年以上壊れることもなく使用することもできるかもしれません。
しかしながら、この施工基準を守らない工事の問題点は「安心できるカーポート」ではないという点です。
なぜ安心できるカーポートではないのか
メーカーでは製造するカーポートに各種の性能を表示しています。
性能の中には「耐候性能」などがあり、そのカーポートが「どのくらい風が吹いても耐えれるか」「どのくらいの雪が積もっても耐えれるか」を目安の数値で表示しています。
そしてそれらの性能を正しく発揮させるためには、メーカーが定めた施工基準に沿った工事を行う必要があります。
つまり、居住地域に適した耐候性能をもつカーポートを選んだとしても、正しい工事を行わないカーポートでは安心できる性能を得られないということになります。
その他にもこんなデメリット
メーカー保証を適切に受けられない
エクステリアメーカーでは製造する商品に、通常2年程度の保証を付与しております。適正な使用状態で不具合が発生した場合には、無料で修理を行ってもらえる保証内容ですが、施工基準に沿った正しい工事でないものに対しては、その保証が適用されません。
火災保険を使用できない場合がある
台風や大雪によってカーポートに損害を受けた場合、加入する火災保険によっては保険適用の対象となる場合もあります。しかし、保険適用を判断する「第三者機関」の確認を受けた際に工事の不備が見つかれば、損害の起因が正しい工事によらないものとなり、保険の使用ができない場合もあります。
予想できない不具合が発生する可能性もある
施工説明書の中には、しっかり確認していないと見落としてしまうような細かい作業もあります。例えば、前述した「水抜き用の穴(水抜き孔)」を設ける必要がある商品もあります。これを省いてしまうと、柱の中に水が溜まり冬場に凍ることで膨張して柱の変形や破損につながったり、柱の中に残留した水により腐食が発生して錆びが柱内に留まることもあります。これらは、露見せず徐々に症状が悪化する可能性もあるため、対処が遅れてしまう(保証期間を過ぎてから不具合が発生する)こともあります。
なぜ正しい工事が行われないのか
それではなぜ本来守らなくてはいけない「施工基準」に沿わず、正しい工事が行われていないか…?
以下のような背景があると考えています。
価格競争によるもの
競合店との価格競争において、いかにカーポートを安く販売しようとする中で、独自の施工方法によって工期の短縮を図ったり、コンクリートなどの使用材料を少なくするなどして、工事費を抑える動きが高まりました。
実際、メーカーが指定する工事方法で1台用のカーポートを設置しようと思うと、通常2日程度工期がかかりますが、独自の方法で工事を行えば半日~1日で設置できてしまいます。費用的にも2~3倍程度の違いが生じるため、安い工事価格で販売されるカーポートが世間に一般普及し、現在でも多くの設置現場ではメーカーの施工基準に沿わない工事が行われています。
販売や施工を行う者の知識不足
上記のような「独自の施工方法」が普及したため、販売業者や施工業者の中にはそれを正しい工事だと認識している場合もあります。
また販売業者も正しい工事方法の知識が乏しく、見積りができないなどの知識不足によるものもあります。
正しい工事をしたくてもできない?!
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前述しましたが施工基準に沿った正しい工事を行わないことで、多くのデメリットや大きな損害をお客様へ与えてしまうこともあります。
2014年に発生した関東地方での記録的な大雪では、結果的に多くのカーポートが倒壊した事例となりました。
そのような事例もあるのにも関わらず、施工基準に沿った正しい工事をすることができない理由は2つあります。
理由1 【 既得収益を守るため 】
メーカー施工基準とおりに工事を行うことで、販売するカーポートの価格は上がってしまいます。
そうすると値上がりによって、そのお店の安いカーポートを求めていたユーザーがこれまで競合していた他社に流れて行ってしまって、一時的に売上が下がってしまうこととなります。
従業員を多くかかえるような企業では、短期的に売上が落ちるだけでも大きな損害となるため、これまでの販売方法を続けざるを得なくなってしまいます。
理由2 【 これまでの工事してきたお客様のフォローが必要になる 】
これまでメーカーの施工基準に沿わない工事でカーポートを設置してきた業者にとって「これからは正しい工事方法でカーポートを設置します」と言ってしまうことは、いままでに自分たちが販売・施工してきた商品が「誤った方法で設置していたもの」ということを認めるようことになってしまいます。
メーカー施工基準に沿った工事ではないことや、正しい工事方法でないとカタログに記載されたカーポートの性能は発揮されない可能性があることなどを、契約時に説明していればお客様とのトラブルになることはありませんが、そうではない場合は工事のやり直しや返金などの対応を必要とする可能性もあります。
そういったことからも、これまで施工基準に沿わない独自の工事でカーポートを設置してきた業者にとって、正しい工事に変更することは難しい状況となっています。
安心したエクステリア工事を行ってもらうためには
それでは、どのようにすれば「安心のできるカーポート工事(エクステリア工事)」を行ってもらえるのかというと…
以下のようなポイントをおさえることが大切です。
現場調査時に正しい工事ができるか確認してもらう
メーカーの施工説明書には、適した設置場所の状況(またはどのような場所には設置できないか)が記載されています。
正しい知識をもった者であれば、前述した「カーポートの柱とブロック壁との間にある程度すき間をあける」など、商品を安全に使用するためにふさわしい設置条件などを把握しています。
現場調査の際には、このような有識者に正しい工事ができるかどうかを確認してもらいましょう。
経験やこれまでの工事実績から「いままでも同じような工事はしてきたし、おそらく大丈夫ですよ」といった、安易な見解で見積りに進めるような現場調査員には注意が必要です。
正しい施工要領が見積の工事内容に反映されているか確認する
メーカーが指定する施工基準(基礎の大きさ、必要作業など)が、見積の工事内容に記載されているか確認しましょう。
例えば、見積の中に「カーポート基礎工事 幅600mm×奥行600mm 基礎高さ550mm」など数字で寸法が示されていれば安心ですよね。
また、図面などを作成してもらえるような業者であれば、見積とともに施工図面を添付してもらうのも安心につながります。
工事中の写真も記録として残す
建築工事全般に言えることですが、完成してしまうと見えなくなってしまう部分にも注意が必要です。
壁の中の柱やコンクリートの中の鉄筋など、どのような材料をつかっているのかなどは、出来上がってしまえば見えなくなってしまいます。
例えば、カーポートの基礎工事前には、掘った穴の中に10cm程度の厚みで砕石層を設ける必要があります(基礎の沈下やカーポート柱内に侵入した水が溜まることを防ぐため)。
そのような作業を怠る業者も往々にしておりますので、こういった見えない部分の作業を記録することは、安心感を得るためには必要といえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
安心できるカーポートを手にするために、お客様自身も商品や工事の知識を最低限は理解しておくことも必要になってきます。
そういった見識をもっていれば、「相見積り」した場合にも正確な天秤で比較することができますし、悪徳な業者に騙されてしまうことも防げます。
カーポートだけでなくその他のエクステリアに関しても、一生に一度のお買い物となることや子どもが受け継ぐものとなることも考えられますので、購入までに納得のいく判断ができるよう「正しく商品・業者を選ぶため」の知識をもっておきましょう!
当記事のまとめ
- 正しい工事の基準となる「施工要領書(施工基準)」がある。
- 実際には施工基準に沿わない工事が非常に多い。
- 施工基準に沿わない工事の問題点は「安心できるカーポートではない(商品性能が適正に発揮されない)」という点。
- 施工基準に沿わない工事のデメリット=「メーカー保証が適切に受けられない・火災保険が使用できない可能性がある・予測できない不具合が発生する可能性がある」
- 正しい工事が行われない背景には、価格競争や販売者側の知識不足などが考えられる。
- これまで不適切な工事を行ってきた者にとって、正しい工事に変えていくことは難しい。
- 安心できる正しい工事をしてもらうために「正しい工事ができるか確認してもらう・見積内容を確認する・見えない所の工事記録を残す」などがポイント。
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