雨の日でも洗濯物が干せたり、テラススペースの日よけとしても活躍する「 テラス屋根 」。
上手に選ぶことで、これまで生活の中で困っていたことや不満に思っていたことも改善することができます。
しかしながら、いざテラス屋根を設置しようと思うと、屋根の形状やサイズバリエーションも非常に多く、どれを選んだらよいか分からないと感じるお客様も多くいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、テラス屋根の魅力やメリット・設置費用などをご紹介するとともに、専門店としてテラス屋根の選び方をお教えいたします。ぜひ最後までご覧になって、後悔しないための自分に合ったテラス屋根選びにお役立てください。
この記事の目次
テラス屋根の魅力・メリット
簡単な工事で屋根が広がる
テラス屋根なら大がかりな工事も必要なく1日で快適空間をつくることができます。
急な雨でも洗濯物が濡れない
お買い物やお出かけでもテラス屋根があれば安心して洗濯物が干せます。
鳥のフンなどを防いでくれる
洗濯物やベランダが汚れることを防いでくれます。
洗濯物を1階で干せるようになる
毎日2階ベランダに運んでいた洗濯物も、1階にテラス屋根を設けた洗濯物干しスペースを作れば、階段の上り下りなく洗濯物干し作業が行えます。
紫外線によるダメージを軽減する
屋根材が紫外線をほぼ100%防いでくれるので、網戸や洗濯物へのダメージを軽減します。室内へ入り込む紫外線もカットするので窓付近のフローリングの退色も防ぐことができます。
周囲の視線を遮る
視線を遮ることで住人のプライバシーをまもります。
室内の温度上昇を抑える
特別な機能をもった屋根材を選べば、室内への明かりは確保しつつも暑さはカットできます。
屋外の遊び場や軽作業の場所として使える
ウッドデッキやタイルデッキと組み合わせることで、風が通る心地よいスペースとして使用できます。
テラス屋根の種類
テラス屋根には施工方法で分けると、壁付けタイプと独立タイプに分けることができます。
壁付けタイプ
建物の構造体(柱など)に直接ねじを打ち込み固定をする方法になります。
壁付けタイプのバリエーション
1階用
屋根と柱で構成されていて、1階の掃出し窓の上部などに設置することが多い。柱は地面の中に埋めてコンクリートで固定する。ほかと比べ選べるサイズなどが多い。
2~3階用
1階用と同様に屋根と柱で構成されているが、柱はベランダの腰壁に固定する。ベランダ屋根やバルコニー屋根などと呼ぶこともあります。
ルーフ
柱がなく壁への固定のみで設置できるため、狭い場所でもスペースを有効に使える。他と比べると選べるサイズなどが少ない。
注意
前述のとおり、壁付けタイプのテラス屋根は取付けのために建物本体にねじ止めする必要があります。
それに伴い一部の住宅メーカーでは、(建物自体または建物の一部の)保証が効かなくなる場合がございます。保証がなくなってしまうかどうかについては、事前にお客様が確認する必要があります。
独立タイプ
カーポートのように地面に独立して設置します。
建物へのねじ止めが必要ないため、壁付けタイプのような心配や住宅メーカーへの確認などの手間がありません。
独立タイプの詳しい内容(費用や魅力)については別記事でご紹介しておりますので、ぜひそちらもご一読ください。
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参考保証が切れないテラス屋根?!独立テラス屋根を専門店が詳しく紹介!
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テラス屋根の選ぶポイント
サイズ選び
適切なサイズを選ぶことで、洗濯物も雨に濡れにくく、テラス屋根の機能を充分に発揮することができます。
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参考関東間、メーターモジュールとは?知っておくと便利な柱の間隔
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1階用・テラス屋根のサイズ選び
間口(横幅)
窓より90cm程度大きいサイズを選ぶ
窓を中心にテラス屋根を設置すると左右に45cm程度大きいサイズになります。雨の吹き込みに対しても対応でき、日差しもほどよく遮ることできます。さらに大きいサイズを選べば安心感もアップしますので、最低でも窓のサイズ+90cm以上の間口を選択するようにしましょう。
出幅
洗濯物を1列で干す場合は5尺(約150cm)、2列で干す場合は7尺(約210cm)のものがおすすめ
洗濯物の横幅(約45cm)+作業スペース(約60cm)+雨除けスペース(約45cm)=テラス屋根の出幅約150cm程度が必要になることが分かります。
また、洗濯物を2列で干すことを考えれば、上記の計算に洗濯物同士の間隔(約10~15cm)+洗濯物の横幅(約45cm)=テラス屋根の出幅約210cm程度が必要ということになります。
高さ
基本的には“標準高さ”でOK!
各メーカーにより多少の違いはありますが、テラス屋根の高さは約240cmが標準高さになります。住宅が特別な仕様(高基礎、ランマ付き窓など)になっていない限りは、標準サイズを選んで大丈夫です。
高基礎とは
通気性の確保や湿気対策、水害対策のため通常の基礎高さよりも、高く作られた基礎のこと。
ランマ付き窓とは
テラス窓(掃出し窓)の上部に採風や採光のための、小さな窓がついた窓のこと。ランマがある分、窓全体の高さが大きくなる。
2~3階用・テラス屋根のサイズ選び
間口(横幅)
1階と同様に窓より90cm程度大きいサイズを選ぶ
1階と同じ理由で窓のサイズ+90cm以上の間口を選択するようにしましょう。また、見映え的にはベランダの間口と合わせたサイズを選ぶと、きれいに収まって見えます。
出幅
ベランダの出幅に合わせたサイズを選ぶ
2階用のテラス屋根の施工特性上、柱がベランダの腰壁に当たる必要があります。そのため、おのずとテラス屋根の出幅はベランダのサイズによって決まります。
後述する「標準桁と自在桁」の違いにより、テラス屋根の柱位置とベランダの腰壁との関係はややこしい話になりますので、まずはベランダの出幅を測って、近しいテラスの出幅を選びましょう。正確なサイズの選択は施工業者や担当の営業などに任せましょう。
高さ
1階と同様に“標準高さ”でOK
2階用のテラス屋根も標準サイズを選んで大丈夫です。
ルーフ(柱無し)・テラス屋根のサイズ選び
間口(横幅)
用途に応じて適切なタイプを選ぶ
ルーフタイプであれば、設置できる箇所や用途が様々あります。
一般的には1.0間(約180cm)~1.5間(約270cm)が選ばれることが多いです。見積時に設置場所や用途をしっかりと伝えて、使いやすいサイズを選択できるようにしましょう。
出幅
隣地境界線からはみ出ないように注意
例えば住宅の脇通路上に設置する場合、住宅の外壁と隣地との間にどのくらいの間隔が空いているのか確認しましょう。
もちろん空中であっても、隣地にテラス屋根がはみ出てはいけませんので、しっかりと隣地境界線を確認して、それよりも小さい出幅のものを選択しましょう。
注意
隣地が近い場合、テラス屋根からの落雪や雨の跳ね返りが、隣家に入ってしまう可能性がありますのでご注意ください。
そのようなリスクがある場合には、専門家へ相談のうえ、設置の際にも隣家へのご承諾を頂く等の配慮を行うことで未然にトラブルを防ぎましょう。
高さ
最低限の高さに設置
ルーフタイプは柱がないため、高さについては選択は必要ありません。
設置の際には雨の吹き込みを防ぐためにも、なるべく低い位置へ設置するよう施工会社へ伝えましょう。
屋根の形状選び
最近ではスタイリッシュな住宅が増えた影響もあり、それに似合う直線的なF型(フラット形状)の屋根に人気があります。
曲線的なR型(ラウンド形状)はやわらかい優しい印象のため、スタイリッシュでクールな住宅よりも、カントリー調や南欧テイストの住宅の方がよく似合います。
住宅のスタイル | 純和風、クラシックスタイル、南欧スタイル | モダンスタイル、シンプルスタイル |
おすすめの屋根の形状 | R型(ラウンド形状) | F型(フラット形状) |
また、機能的な面での違いもあるので、それぞれの特性を踏まえたうえで選ぶようにしましょう。
R型(ラウンド形状)
屋根が曲線的な形状のR型
- デザインはやわらかくて優しい印象になる
- 屋根の先端が下がっているため、雨の吹き込みを防ぎやすい
- 曲線形状のため雪が落ちやすい
F型(フラット形状)
屋根が直線的な形状のF型
- デザインはモダンでスタイリッシュな印象になる
- R型に比べ屋根の先端が高いため、室内からの視界が広い
- 木調色などバリエーションが豊富
標準桁と自在桁の違い
テラス屋根のカタログを見ると、標準桁と自在桁(出幅移動桁、奥行移動桁など)の選択肢があることに気が付きます。桁というのは下の写真のようなもので、屋根と柱をつなぐ重要な部位です。
標準桁
桁・柱は屋根の先端に位置します。そして桁・柱の位置は出幅方向には移動できません。
自在桁
桁・柱は屋根の先端よりも引込んで位置します。さらに桁・柱の位置は出幅方向に規定値内で移動できます。
自在桁をつかうケース
標準桁であれば、2階のベランダに設置する際に、ベランダの大きさに合わなければ、テラス屋根の出幅を切詰の加工をして設置する必要が生じてしまいます。
ですが、自在桁では柱が移動できるため、無駄な加工が必要なく設置ができます。また、屋根が伸びているため雨の吹き込みも防ぎやすいです。
屋根材選び
壁付けタイプのテラス屋根では、ポリカーボネート材の屋根が一般的になります。
- 普通ポリカーボネート
- 暑さ軽減機能付きポリカーボネート
- 暑さ軽減機能付き&防汚機能付きポリカーボネート
上記の3種類があり、それぞれの特性は異なります。
普通ポリカーボネート
一般的なポリカーボネート材。機能付きのものと比べると安価な点が特徴です。
暑さ軽減機能付きポリカーボネート
暑さを軽減する機能が付与されたポリカーボネート材。普通ポリカーボネートに比べると1.1倍ほど価格が高くなりますが、上空から降り注ぐ太陽光の暑さを1.4~1.8倍程度やわらげる効果があります。熱線吸収や熱線遮断などメーカーごとに呼び名が異なります。
暑さ軽減&防汚機能付きポリカーボネート
暑さを軽減する機能に加え、汚れが落ちやすい機能がついたポリカーボネート材。2階のベランダなどに設置した場合などは、屋根のお掃除もなかなか難しいですので、自然に汚れ落ちしやすい防汚機能がついたタイプがおすすめです。
※一部メーカーのみ取扱いとなります。
ポリカーボネートの色選び
ポリカーボネートの色選びで重要な点は以下の2点です。
- 暑さを軽減することを重要とするか
- 視線を遮ることを重要とするか
YKKの屋根材を一例としますが、屋根の色にはブルー系、ブラウン系、クリア系があります。
屋根下の日陰のできやすさ(体感温度)でいうとブルー系>ブラウン系>クリア系となります。テラスや部屋の中が暗くなってしまうデメリットはありますが、暑さを軽減するという点ではブルー系の色を選ぶことをおすすめします。
また、色を選ぶことに加えてマットタイプ(かすみ調、くもりガラス調など)にできるものもあります。背景が曇って見えますので、視線を遮りプライバシーを守る効果が高まります。
暑さ軽減効果&視線遮蔽効果どちらも欲しいという方には、ブルー系のマットタイプがおすすめといえるでしょう。
耐候性
耐積雪強度&耐風圧強度は安心できるものを選ぶ
テラス屋根商品には積雪に対する強度(耐積雪強度)と風に対する強度(耐風圧強度)が書かれています。自分の土地環境にあったものを選ばないと、積雪によってテラス屋根がつぶれてしまったり、台風によってテラス屋根の屋根材が飛んで行ってしまったなどの事故につながります。
雪への強度(耐積雪強度)
耐積雪〇〇cmという形で表示されています。
※1500N/㎡(耐積雪50cm相当)、600N/㎡(耐積雪20cm相当)と表示されることもあります。
最近では、雪の降らなかった地域でも突然大雪がふることもありますので、耐積雪強度には余裕をもって選ぶと良いでしょう。関東圏の平野部であれば、通常は耐積雪20cm(600N/㎡)、安心できるものであれば耐積雪50cm(1500N/㎡)のものがおすすめです。
注意
ソーラーパネルの下にはテラス屋根を設置しない
ソーラーパネルの上はつるつるしていて、積もった雪が滑り落ちやすい状態になっています。たとえ10~20cm程度積もった雪であっても、落下した際の衝撃は積雪量以上のものとなってしまいます。
風への強度(耐風圧強度)
耐風圧〇〇m/秒という形で表示されていて、秒速〇〇mの風相当であれば耐えれるということを示しています。
風による事故で怖いのが、飛んで行った屋根材が近隣住宅にぶつかってしまうことや、歩行者にあたってケガをさせてしまうことです。そうならないためにも、自分が住む地域の環境を知り、適切な対候性能をもつテラス屋根を選択しましょう。
特に沿岸地や高台、風の通り道となっている場所など、日ごろから風の強さを感じることが多い場合には、耐風圧強度の高い商品を選びましょう。
本体の色選び
窓色と合わすのがベター
メーカーによって違いはありますが、5~6色程度のバリエーションがあります。
住宅に馴染みやすい選び方として、周囲にある窓枠、ベランダ笠木、雨どいなどの色に、近いものを選ぶのが有効な方法です。
また、木目調のウッドデッキやフェンス、玄関ドアなどがある場合には木目調のテラス屋根もおすすめです。デザインに一体感が生まれ、おしゃれ度がぐっと上がります。
テラス屋根の費用
LIXIL スピーネ F(フラット形状)
テラス屋根の種類 壁付け(1階用)
耐積雪強度20cm相当
耐風圧強度34m/秒相当
設置費用 約85,000円~(税込・工事費込み)
LIXIL スピーネ R(ラウンド形状)
テラス屋根の種類 壁付け(1階用)
耐積雪強度20cm相当
耐風圧強度34m/秒相当
設置費用 約87,000円~(税込・工事費込み)
LIXIL スピーネ F(フラット形状)
テラス屋根の種類 壁付け(2~3階用)
耐積雪強度20cm相当
耐風圧強度37m/秒相当
※3階設置の場合、39m/秒相当
設置費用 約98,000円~(税込・工事費込み)
LIXIL テラスVS F(フラット形状)
テラス屋根の種類 壁付け(1階用)
耐積雪強度30cm相当
耐風圧強度36~46m/秒相当
設置費用 約107,000円~(税込・工事費込み)
LIXIL テラスVS R(ラウンド形状)
テラス屋根の種類 壁付け(ルーフタイプ)
耐積雪強度30cm相当
耐風圧強度36~46m/秒相当
設置費用 約129,000円~(税込・工事費込み)
LIXIL 木調テラス屋根 シュエット
テラス屋根の種類 壁付け(1階用)
耐積雪強度20cm相当
耐風圧強度34m/秒相当
設置費用 約126,000円~(税込・工事費込み)
LIXIL 木調テラス屋根 シュエット
テラス屋根の種類 壁付け(2~3階用)
耐積雪強度20cm相当
耐風圧強度37m/秒相当
※3階設置の場合、39m/秒相当
設置費用 約128,000円~(税込・工事費込み)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
実際にテラス屋根を設置するとなった場合には、専門の業者などが見積のために設置現場に訪れます。
その場で、ある程度はどのような大きさ・どのような種類のテラス屋根が欲しいのかを応えられるようにしておくことで、打ち合わせもスムーズに進みます。
エクステリア各メーカーでも、それぞれ特徴をもった商品を展開していますので、ぜひ自分に合ったテラス屋根を見つけてみましょう!
テラス屋根を選ぶポイント
- テラス屋根の種類は、壁付けタイプ・独立タイプの2種類。
- 壁付けタイプには、1階用・2~3階用(ベランダバルコニー用)・ルーフタイプ(柱無しタイプ)などがある。
- 独立タイプは、住宅にテラス屋根を固定しないため、住宅保証失効のリスクなどを心配せず設置できる。
- テラス屋根の間口(横幅)は、窓の幅よりも90cm以上大きいものを選ぶ。
- テラス屋根の出幅は、1階に設置する場合には150cm以上がおすすめ。
- テラス屋根の高さは、基本的には標準サイズでOK。
- 屋根材(ポリカーボネート)は機能性によって金額が変わる。屋根材の色はブルー系が日陰をつくりやすく、さらにマット調(かすみ調)のものを選べば目隠し効果にもつながる。
- 耐候性(雪に対する強さ・風に対する強さ)は、自分の地域に合った安心できる性能を選ぶ。
- テラス屋根の色は、住宅の窓枠などの金属色と合わせるのがベター。木目調のテラス屋根はナチュラルな雰囲気の住宅によく似合う。
- 設置費用の目安は、壁付け(1階用)で約8~9万円、壁付け(2~3階用)で約10万円、壁付け(ルーフ)で約11~13万円、木調カラー壁付け(1階用)で約12万円、木調カラー壁付け(2~3階用)で約13万円。