家族の憩いの場ともなるウッドデッキ。天然の木材で作られたウッドデッキは肌触りもよく、あたたかみのある質感が特徴です。その一方で、シロアリの被害に悩まされたり、劣化を防ぐための塗装が必要だったりと面倒な一面も持ち合わせています。
そのような天然木の弱点を改善しているのが、人工木材でつくられたウッドデッキ(人工木デッキ)。
耐久性やメンテナンス性に優れた人工木デッキの魅力やメリットを今回ご紹介するとともに、後悔しないため商品選びのポイント、設置にかかる費用などを解説してまいりたいと思います。
この記事の目次
人工木デッキの魅力・メリット
耐久性が高い
樹脂が主原料のため腐りにくく、経年劣化による買い替えや床板の張り替えもほとんどありません。
対候性が高い
日差しなどの影響による退色や水濡れによる反りが少ないため、外観の美しさを長く保てます。
シロアリ被害にあいにくい
地面に近い構造材(束や大引きなど)はアルミ製のため、シロアリが寄り付く心配がありません。
汚れや傷に強い
汚れがついた場合も水洗いでサッと落ち、万が一傷がついた場合にも紙やすり等での補修が簡単に行えます。
メンテナンスフリー
劣化を防ぐための塗装の塗り直しが必要ありません。
低ランニングコスト
天然木のウッドデッキに比べて維持費用が低く抑えられます。
エコロジー
材料に使われているのは、リサイクル木材やリサイクルプラスチックで環境にもやさしい商品です。
子どもやペットも安心
天然木に比べケガの原因にもなるささくれなどが生じづらいです。
人工木デッキの基本知識
素材
人工木デッキの床板や幕板などは樹脂(プラスチック)+木粉で作られた人工木材です。また束柱や大引きなどの構造材はアルミ材で作られています。
構造
基本的な人工木デッキの構造
- 床板
- 幕板(まくいた)
- 大引き(おおびき)
- 束柱(つかばしら)
ポイント
樹脂デッキ
樹脂デッキは人工木材(樹脂+木粉)とは異なり、樹脂のみで作られた樹脂木材でつくられています。
商品選びのポイント
床板選び
床板はメーカーごとに特徴が表れており、見た目や性能にも差があります。自分のライフスタイルに合ったお好みの人工木デッキを選びましょう。
LIXIL
デッキDC
- 床板の幅 175mm
- 床板の厚み 46mm
- 床板の色 全2色
熱が伝わりにくい
デッキDCは独立気泡構造で蓄えられる熱量が少なく、熱伝導率が低い樹脂材を採用しているため移動する熱量を少なく抑えています。そのため一般的な人工木デッキよりも熱を感じにくく、夏場でもデッキの上を素足で歩けるような特徴をもちます。
デッキDS
- 床板の幅 175mm
- 床板の厚み 46mm
- 床板の色 全3色
リアルな木肌の濃淡を再現
色の濃淡をつくるため、複数の樹脂材が混ぜ込まれています。またリアルな木肌に近づけるため、2回にわけて表面を削ることで、自然に刻まれたような溝が生まれ、天然木の木肌に近い毛羽たちを再現されています。ヴィンテージ調のラグジュアリーな床板は、まるでリゾートにいるような気分にさせます。
樹ら楽ステージ(木調)
- 床板の幅 175mm
- 床板の厚み 46mm
- 床板の色 全4色
木の自然な風合いを表現
デッキ表面に溝をつけ木の自然な風合いを表現した美しいデザインのデッキです。粗密のランダムさや繊細な色ムラ、陰影の濃淡が追求され、不均一で心地いい木質の“ゆらぎ”を再現しています。
樹ら楽ステージ
- 床板の幅 175mm
- 床板の厚み 46mm
- 床板の色 全5色
多彩なプランと豊富なバリエーションが魅力のスタンダードデッキ
室内のインテリアや内装との組み合わせしやすいカラーを5色用意。様々な敷地にも適応する対応力と多彩なオプションが魅力のスタンダードデッキです。
レストステージ
- 床板の幅 195mm
- 床板の厚み 46mm
- 床板の色 全3色
コストパフォーマンスに優れたタイプ
選べるサイズやオプションを絞り込むことで、価格を抑えたタイプ。強度や耐久性は他の商品とも変わらないコスパの良い商品です。ベランダ床に設置することもできます。
三協アルミ
ラステラ デッキ
- 床板の幅 274mm
- 床板の厚み 46mm
- 床板の色 全4色
空間を美しく演出するマーブル模様
ラステラの床板は大理石のようなマーブル模様が特徴的。またワイド幅の床板は高級感を演出します。束柱が見えにくい構造の納まりを選べたり、他のものとは一線を画す新感覚の商品です。
ひとと木キュアーズ デッキ
- 床板の幅 204mm
- 床板の厚み 46mm
- 床板の色 全3色
濡れ縁のようなリアルな木肌と色合い
木目の本格的な質感を生みだすために、職人が手仕事で磨き上げる日本の伝統技法「浮造り」を再現し、自然な陰影を表現。また床板表面には「墨流し風仕上げ」が施され、自然な色ムラをもつ天然木に近い加工がなされています。濡れ縁のように幕板がない仕様を選べることも特徴のひとつです。
ひとと木2 デッキ
- 床板の幅 204mm
- 床板の厚み 46mm
- 床板の色 全6色
バリエーション豊かなスタンダードタイプ
天然木の温もりのある風合いを再現した「床板タイプ」4色と、表面を凹凸加工し、木目風の柄を施した「木目床板タイプ」2色の計6色から自分にあったカラーをお選びできます。また足元の束柱をデッキに合わせて木調色に変更できる点は他には見ない特徴です。
YKKAP
リウッドデッキ 200
- 床板の幅 197mm
- 床板の厚み 30mm
- 床板の色 全4色
意匠美に優れた目地幅最小の安心タイプ
床板と床板の間にできる目地の幅は通常5mm程度ですが、リウッドデッキは3mmと小さく、すき間から物が落ちにくい設計。また光が漏れにくいためデッキ下に草が生えにくい構造です。目地が目立ちにくい意匠美も特徴のひとつです。
四国化成
ファンデッキHG
- 床板の幅 144mm
- 床板の厚み 50mm
- 床板の色 全8色
反りの少ない厚高床材
ファンデッキの床板の厚みは50mmで人工木材の中でも特に反りに強いものとなっています。天然木の色合いと質感にこだわった「ティンバーカラー(5色)」と「ノーマルカラー(3色)」からお選びできます。
タカショー
エバーエコウッド リアル
- 床板の幅 115mm
- 床板の厚み 50mm
- 床板の色 全4色
幅狭の繊細で美しい人工木デッキ
表面に凹凸加工を加え、木目の風合いを再現。触り心地も見た目も天然木と間違えるほど、繊細で美しい床板です。他製品よりも幅の狭い115mmの床板は、独特な雰囲気のデッキ空間を造りだします。
エバーエコウッド Ⅱ
- 床板の幅 195mm・115mm
- 床板の厚み 50mm
- 床板の色 全4色
好みに合わせて幅が選べる
床板の幅を195mm(幅広タイプ)と115mm(幅狭タイプ)から選べるため、居室のフローリング幅に合わせて、室内外を一体感ある空間にすることができます。
エバーエコウッド Ⅱ グランデ
- 床板の幅 145mm
- 床板の厚み 60mm
- 床板の色 全2色
厚みのある高級タイプ
床板の厚みが60mmと厚く重厚感があり、ワンランク上の高級感を醸し出す人工木デッキです。幕板を使用しないデザインは濡れ縁のような雰囲気で和モダンにな空間にも映えます。
サイズ選び
適切なサイズを選ぶことで、使いやすく憩いの場となるウッドデッキになります。実際にメジャーを使って、設置した際の大きさをシミュレーションしてみましょう。
ウッドデッキの横幅
窓より90cm大きいサイズが目安
この目安であれば窓を中心に設置すると左右に45cmほど大きいサイズになります。それ以下になると見た目や使い勝手が悪くなるので、窓の横幅+90cm以上を確保しましょう。
ウッドデッキを2つの窓にかかるように設置するのもおすすめです。大きなスペースができ、存在感のあるウッドデッキ空間になります。
ポイント
住宅の形にあわせてウッドデッキを加工
住宅の中には出隅があったり入隅があったり、四角形ではないものも多く存在します。そのような場合ではウッドデッキの設計も難しくなりがちですが、住宅の形に合わせて、切詰める加工ができたり異形にすることができる人工木デッキもあります。
おしゃれな住宅の形を活かして、使いやすい形にウッドデッキを加工して使いましょう。
ウッドデッキの出幅
横幅の2/3程度の出幅が目安
ウッドデッキの横幅の2/3程度の出幅にすることで、美しい形状の見た目になります。
しかしながら、ウッドデッキの上でBBQがしたい洗濯物が干したいなどの具体的な利用目的がある場合には、出幅のスペースを確保するとともに、逆に横幅を出幅に合わせて拡げるなどの工夫をしましょう。
ポイント
作業に必要スペースを確保
具体的にウッドデッキの上でしたいことややりたいことが決まっている方は、実際にスペースを想定して、必要なウッドデッキの出幅を決めましょう。
例えば、テーブルやチェアーを置いてティータイムをウッドデッキの上で過ごしたい場合は、前後に作業・歩行スペースを50~60cm程度ずつを確保できる出幅を選びましょう。
ウッドデッキの高さ
窓枠の下端に合わせる
デッキの床面の高さは、基本的には窓枠の下端にあわせるようにしましょう。
実際に、地面から窓枠下端までの高さを測り、ウッドデッキの高さがいくつ必要か知っておきましょう。
ポイント
標準束柱とロング束柱
ウッドデッキの高さによって束柱の種類が変わります。
- 標準束柱・・・ウッドデッキの高さが~550mm程度までの場合。
- ロング束柱・・・ウッドデッキの高さが~1,000mm程度までの場合。筋交いなどの補強材が入ることがあります。
標準束柱
ロング束柱
ステップ選び
ウッドデッキを通じて花壇への水やりなど、庭とウッドデッキ間での行き来が生活スタイルとして考えられる方は、ステップの設置を検討しましょう。
ステップの必要段数(高さ)
人が昇り降りしやすい高さは17cm前後と言われています。例えば、地面から窓の下端までの高さが50cmあり、最上段のウッドデッキの高さが50cmであれば、ステップを2段分つくることで安全に昇降のしやすいウッドデッキとなります。
ステップの踏面
また高さだけではなく、踏面(ステップの広さ)の寸法にも注意が必要です。楽に上がれる階段も踏むスペースが小さいと危険なものになります。踏面は26~30cm程度がつかいやすいでしょう。
ステップ部分のスペースを大きめに作りたい場合には、歩幅も考えて、リズムよく昇り降りできるようにしましょう。
ポイント
部分的にステップを組み合わせる
商品によってはオプションで部分的なステップ(独立ステップ)があります。ステップを必要最小限にすることで、効率的にコストを抑えることができます。
フェンス選び
ウッドデッキとともにフェンスの設置をおすすめするケース
- 小さなお子さんやペットがいる場合
- 道路や近隣住宅からの視線が遮れない場合
小さなお子さんやペットがいる場合
安全面に関して注意が必要です。誤ってウッドデッキから落ちてしまうことがないようフェンスを設置しましょう。フェンスの種類は透け感のある縦格子タイプがおすすめです。フェンスの裏側の状況も把握でき、縦格子であれば足をかけてよじ登る可能性も低いため、不測の事故にもつながりにくいです。
道路や近隣住宅からの視線が遮れない場合
フェンスの高さ選びが重要です。デッキ上でも快適に過ごせるようフェンスで上手に視線を遮りましょう。ウッドデッキ用のフェンスは、80~120cmの「一般タイプ」と180cm程度の「ハイフェンスタイプ」があります。実際にデッキ上にいる際にどこからの視線を遮りたいかを考え、有効な高さのフェンスを選びましょう。
ポイント
独立型フェンス(ハイフェンス)と組み合わせる
ハイフェンスタイプでは「控え柱」が入ることがあります。ウッドデッキのスペースが狭くなることを避けたい場合には、ウッドデッキ用のフェンスではなく、別途独立型のフェンスを組み合わせることもできますので、一案としてご検討ください。
控え柱が入る場合
独立フェンスと組み合わせる場合
日除け選び
デッキ上でさらに快適に過ごすために、日除けを設置するのはいかがでしょうか。室内に入る日差しも軽減でき、夏場の暑さも和らぎます。
日除けの種類
- テラス屋根
- 独立テラス屋根
- オーニング
- シェード
テラス屋根
設置費用 約12万円~
紫外線や暑さの原因の熱線を効率的にカットしながらも、日の光は取り込むことができるため、室内が暗くなりすぎることもありません。
独立テラス屋根
設置費用 約22万円~
外壁から離れた場所にも設置可能なため、ウッドデッキ空間のデザイン性も広がります。住宅保証が切れる心配のない点もグッド。
オーニング
設置費用 約15万円~
布製のひさしで金属製の骨組みが可動することで出し入れができます。我が家のウッドデッキをカフェテラスのような癒しの空間に演出。
シェード
設置費用 約5万円~
布製の日よけでウッドデッキの床面やフェンスなどに固定して使います。比較的お買い求め安く、簡易的な日除けとして優れています。
ポイント
洗濯物干し場として活用
テラス屋根や独立テラス屋根に竿掛けを設置することで、ウッドデッキを洗濯物干し場として活用できます。わざわざ2階のベランダまで上がり洗濯物を干すという手間が軽減されて、毎日の家事も楽になります。
ウッドデッキ下の地面選び
デッキ下には日が入りづらく雑草の生えにくい環境ではありますが、まったく生えないということでもありません。
また土の状態のままだと、湿気があがりやすくデッキがカビやすくなってしまうなどのデメリットもあります。
ウッドデッキ下の種類
- 防草シート
- 防草シート+砂利敷き
- 土間コンクリート
防草シート
設置費用(2.7m×1.8m) 4,000円程度
雑草対策
湿気対策
見た目・清掃性
防草シート+砂利
設置費用(2.7m×1.8m) 12,000円程度
雑草対策
湿気対策
見た目・清掃性
土間コンクリート
設置費用(2.7m×1.8m) 90,000円程度
雑草対策
湿気対策
見た目・清掃性
ポイント
除草剤の散布には注意
除草剤にはアルカリ性や酸性のものがありますが、その薬剤はアルミ材が腐食する原因になります。
ウッドデッキの束柱などに付着すれば、そこから錆びが生じる原因にもなりますので、その他のエクステリアも含めて、アルミ製品近くでの除草剤の散布には注意をしましょう。
人工木デッキの費用
リアルな木肌で高級感があるタイプ 約3.7万円/1㎡あたり
スタンダードなタイプ 約3.1万円/1㎡あたり
リアルな木肌で高級感があるタイプ
LIXIL デッキDS
サイズ 約2.7m×1.8m(デッキ高さ50cm)
費用 約21万円(税込・工事費込み)
スタンダードなタイプ
LIXIL 樹ら楽ステージ
サイズ 約2.7m×1.8m(デッキ高さ50cm)
費用 約18万円(税込・工事費込み)
使いやすさがぐっと上がるおすすめのオプション
▶ 多段幕板
見た目のデザイン性が豪華になるだけでなく、デッキ下への動物の侵入を防止したり、束柱を隠す効果があります。
▶ スロープ
スロープをつけることで、幅広い方々が安心安全にウッドデッキ空間を楽しむことができます。
▶ ライトアップ(照明)
ウッドデッキを使うシーンは昼間のイメージが強いですが。ライティングを行うことで夜も魅力的な空間に変わり、シックな大人の時間を過ごせます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
天然木には天然木の良さ、人工木には人工木の良さがそれぞれあります。
導入時のコストやデザイン性だけでなく、自分のライフスタイルを踏まえて無理なく維持できるウッドデッキを選びましょう!
人工木デッキを選ぶポイント
- 人工木デッキ選びのスタートは、自分の好みの床材を選ぶことから。
- 各メーカーの商品シリーズによって床材のデザイン・肌ざわり・板の幅・厚みなど違いがあるので、それぞれの特徴を把握する。
- デッキの横幅は窓より90cm大きいサイズが目安。
- デッキの出幅は横幅の2/3程度が目安だが、利用目的が決まっているのであれば作業スペースを考慮して出幅を決める。
- デッキの高さは窓枠の下端に合わせるのがベター。
- ステップを設ける場合は、段の高さは17cm前後、段の踏面は26~30cmが目安。
- フェンスを付けることを勧めるケースは、「小さなお子様やペットの落下を防ぐ場合」と「周囲の視線を遮りたい場合」。
- デッキの日よけはテラス屋根、独立テラス屋根、オーニング、シェードの4種類。
- デッキ下の雑草・湿気によるカビには、防草シートやコンクリートを打設することで対策が行える。
- 人工木デッキの費用は高級タイプで約3.7万円/1㎡、スタンダードタイプで約3.1万円/1㎡程度。