自宅の自転車やバイクが雨によって錆だらけになってしまった、紫外線の影響でシートが劣化して破けてしまった。砂埃で汚れてしまって出発前の掃除が日課になっている。そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回の記事では自転車を雨や紫外線から守るサイクルポート(自転車置き場)について、その魅力やメリット、どんな種類があるか、そして設置にかかる費用などをご紹介して参りたいと思います。
サイクルポート選びのポイントもご紹介しておりますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいませ。
サイクルポートの魅力・メリット
冒頭でも申し上げた通り、サイクルポートの魅力は大切な自転車を守ることにあります。
劣化を防ぐことができる
屋根があることで錆の原因になる雨を防ぎ、紫外線によるサドルなどの非金属パーツ部分の劣化を抑えます。
汚れを防ぐことができる
砂埃や鳥の糞などによって自転車が汚れることを防ぎます。
温度上昇を防ぐことができる
直射日光によるハンドルやサドル、金属部分の極端な温度上昇を防ぎます。
盗難を防ぐことができる
サイクルポートの柱や、輪留めオプションなどと自転車をロックすることで盗難対策になります。
サイクルポートの種類
ここではどのようなサイクルポート(自転車置き場)があるかについて、
工事が必要なタイプと不要なタイプに別けて説明をしたいと思います。
工事が必要なタイプ
2本柱タイプ
屋根とそれを支える2本の柱で構成されたタイプ。一般住宅向けでは最も流通しており、種類も豊富です。
4本柱タイプ
屋根とそれを支える4本の柱で構成されたタイプ。屋根材は金属折板材などを用いることもあり、他のタイプよりも強度が高いものが多いです。
囲いタイプ
屋根とそれを支える4本の柱で構成され、まわりをパネルで囲ったタイプ。パネルは2方向を囲う“L字型”や、3方向を囲う“コの字型”などがあり、横なぐりの雨や突風から自転車を守ります。
ガレージタイプ
物置にシャッターが付いたようなタイプ。全方向で囲われている為、多少の雨風であれば心配はいりません。大きなものではバイクなどを止めることもでき、ガレージ内には照明や棚を付けることも可能です。
工事が不要なタイプ
折りたたみタイプ
不使用時には折りたたんで小さくすることができるタイプ。屋根となる部分はポリエステルやナイロン素材などの布生地でつくられていて、撥水加工が付与されています。簡単に組み立てが行えて、すぐに使うことができます。
テントタイプ
テントのように上横が布生地で囲われたタイプ。前面に入口が付いており、そこから自転車を中に入れて保管することで、雨や汚れを防ぎます。
サイクルポートの費用
ここではサイクルポートの設置に関わる費用について具体的にご説明したいと思います。主に「工事が必要なタイプ」についてそれぞれご紹介しますのでご参考くださいませ。
はじめの基礎知識
サイクルポートの設置に関する費用は【商品代+工事代】です。工事代の内容には以下のようなものがあります。
ハツリ工事
コンクリートの地面に設置する場合に、一部コンクリートを壊す(斫る)作業。※設置場所が土の場合は不要
掘削・根巻き・基礎工事
柱を立てる場所の穴掘り作業及び柱をコンクリート等で固定する作業。※ガレージタイプではガレージ下の基礎をつくる作業となります。
組み立て工事
商品本体の基本的な組み立て作業。
オプション工事
オプション商品がある場合などに行われる追加作業。
工事残材処理
工事等で発生した処分物(残材)などを処理する作業。
その他にも、商品のタイプや設置する現場状況などによっても、多少の工事項目の追加があります。
2本柱タイプの費用目安
LIXIL ネスカ F ミニ
ポリカーボネート板屋根材
耐積雪強度20cm相当
耐風圧強度38m/秒相当
【土の場合 設置費用】 約141,000円~(税込・工事費込み)
【土間コンの場合 設置費用】 約146,000円~(税込・工事費込み)
4本柱タイプの費用目安
LIXIL カーポートST 3000 小屋根タイプ
金属折板屋根材
耐積雪強度100cm相当
耐風圧強度46m/秒相当
【土の場合 設置費用】 約227,000円~(税込・工事費込み)
【土間コンの場合 設置費用】 約252,000円~(税込・工事費込み)
囲いタイプの費用目安
LIXIL フーゴ F パーク
ポリカーボネート板屋根材
耐積雪強度20cm相当
【土の場合 設置費用】 約288,000円~(税込・工事費込み)
【土間コンの場合 設置費用】 約318,000円~(税込・工事費込み)
ガレージタイプの費用目安
イナバ物置 バイク保管庫 FM 床付きタイプ
金属折板屋根材
耐積雪強度60cm相当
【土の場合 設置費用】 約337,000円~(税込・工事費込み)
【土間コンの場合 設置費用】 約334,000円~(税込・工事費込み)
工事が不要なサイクルポートの費用
一方、工事が不要な折りたたみタイプやテントタイプは、1万円~1万5千円程度が相場です。
費用面だけで見れば、工事が必要なタイプに比べだいぶ安いですが、どちらのタイプにもメリット・デメリットもありますので、それらを理解したうえでのサイクルポート選びが必要になります。
それぞれのタイプを比較
前述の通り、工事が必要なタイプと不要なタイプでは、費用に大きな差があります。
しかしながら、耐用年数や耐候性能(太陽光による日焼け防止、強風や積雪に対する強度など)を重視するのであれば、工事が必要なタイプの方がおすすめと言えます。
「近年中に引っ越す予定だから、簡易的なもので十分」
「家族が増えることも考えて、長く安心して使えるものにしたい」
などケースバイケースで、自分にあったサイクルポートを選らべるようにしましょう。
短期的にコストパフォーマンス良く使いたいのであれば工事不要タイプ。
長期的に安心・快適に使いたいのであれば工事必要タイプ。
後悔しないサイクルポートの選び方
ここまでサイクルポートの種類や費用についてご説明をしてまいりましたが、実際にどれかを選ぶとなった際に、後悔しないため抑えるべきポイントを専門店としてご紹介したいと思います。
サイズ選び
自転車のサイズ・台数から適したサイズのサイクルポートを選択しましょう。
サイクルポートの幅
自転車の長さを把握した上でサイクルポートの幅を選ぶと、雨も防いでくれて汚れもつきにくくなります。
下の図からすると、家族全員の自転車をカバーするためには200cm以上の幅がある商品を選ぶと良いと言えます。
中型のバイクなどさらに大きいものを停めることがある場合には、さらにサイズに余裕のあるものを選びましょう。
大人用の自転車
長さ190cm 程度
子ども用の自転車
長さ100~150cm 程度
サイクルポートの奥行
奥行については、停める自転車の台数をもとに考えましょう。
下の図からすると自転車の横幅は約60cm(子ども用は約50cm)あります。
また、自転車を横並びで停めた際に、取出し易さを考えると最低でも左右に10cm程度のスペースが必要です。
【 サイクルポートの奥行 計算例 】
自転車の横幅60cm + 左右のスペース20cm = 1台あたりの必要寸法 80cm
必要寸法80cm × 自転車の台数 = サイクルポートの奥行
自転車の横幅
大人用で約60cm(子ども用 約50cm)
取出し易いスペース
横幅+左右に10cm程度ずつ
また、家族状況の変化(人数の増加、子どもの成長による自転車のサイズ変更など)も念頭に、ある程度変化に応じることのできるサイズを選択することもポイントです。
サイクルポートの高さ
特別な理由がない限り180~190cm程度の高さを選びましょう。
サイクルポートの屋根が高くなればなるほど雨の入る量は多くなってしまいます。
各メーカーでは180~190cm程度の高さが標準仕様となっておりますので、特別な理由やこだわりがない限りは、最低限必要な高さのものを選択しましょう。
サイクルポートの高さ
180~190cm程度が目安
特別な理由の例
設置場所が玄関ポーチと近いなど
仕様選び
サイクルポートの耐候性能
前述した耐候性能についてですが、メーカーのカタログには商品の耐候性能が表記されているものがあります。
▶ 風に対する強度(耐風圧強度)
通常は「耐風圧〇〇m/秒」という形で表示されていて、目安として秒速〇〇mの風まで耐えれるということを示しています。
台風などの際には瞬間的に強い風が吹くこともありますので、商品の強度の目安としてしっかり確認しましょう。
▶ 雪に対する強度(耐積雪強度)
「耐積雪〇〇cm相当」という形で表示されています(※1500N/㎡=耐積雪50cm相当、600N/㎡=耐積雪20cm相当と表示されることもあります)。
異常気象などにより普段雪が積もることのないような地域でも予想以上の積雪が起こる場合もあります。大切な自転車やサイクルポート自体の倒壊を防ぐためにも、安心できる強度のものを購入しましょう。
適切な耐候性能を選ぶポイント
気象庁のホームページ等で、例年の風の強さや平均積雪量などを地域ごとに確認することができます。お住まいの地域にはどのくらいの耐候性能が必要かを事前にチェックしておきましょう。
サイクルポートの屋根材選び
紫外線から自転車を守ることや、夏場に自転車が熱くなることを防ぐカギとなります。
屋根材の中の1つであるポリカーボネート材(透明屋根)では、効果的に日光による熱を軽減するタイプもあります。
詳しくは別記事の「屋根材選び」でご紹介しておりますので、ぜひそちらもご一読ください。
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参考専門店が教えるカーポート・サイクルポートの屋根材選び
続きを見る
サイクルポートの設置場所
道路から玄関までの動線上に配置
日頃の使いやすさの面からも、玄関から道路・道路から玄関の間に駐輪場を設けて、遠回りすることなく自転車の出し入れができるような設置場所を選びましょう。
自転車が見えないよう配置
門袖やブロック塀の後ろに隠れるような配置にすることで盗難対策を行いましょう。
また、この時に気をつけるべきは、リビングなどからは自転車が見えるようにしておくことです。壁の裏に自転車があることを知られてしまった場合、逆に死角として壁を利用されてしまう可能性があります。リビングからは壁の裏を見えることをアピールすることで二重の対策が行えます。
サイクルポートの下はコンクリートがいいの?
結論から申し上げるとコンクリートの打設をおすすめします。
- 雑草の処理などが楽
- 見た目がきれい
- 自転車や周囲が汚れにくい
- 砂利や土などに比べ地面の安定性があるため、風が吹いても倒れにくい
などのメリットがあり、工事費用は3~4台用スペース(2.1m×2.8m)で10万円程度です。
コンクリート以外ではレンガや平板を敷き並べるのも手かもしれません。
使いやすさがぐっと上がるおすすめのオプション
屋外用コンセント
2本柱や4本柱タイプであれば柱部分に設置することができます。電動自転車の充電や自動空気入れの使用にあたり、わざわざ家の中にいれたり、延長コードを使って行う必要がなく便利です。
照明
暗くなりがちなサイクルポート下やガレージ内では、照明が一つあるだけでも自転車の出し入れや軽作業には非常に便利です。人感センサータイプのものであれば人の往来の際だけ点灯するので、スイッチの入切の面倒もなく無駄な点灯時間の節約にもなります。盗難や不審者対策にもつながる一石二鳥のオプションです。
駐輪スタンド、輪止め
転倒防止、盗難防止などの効果があります。また、駐車位置の目安にもなり自然と自転車が整列されます。固定式タイプと置くだけのタイプがありますが、防犯の効果を高めるためにも固定式のタイプをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
工事が必要なサイクルポートであれば、耐用年数は15年以上のものがほとんどです。一度設置すれば買い替えも少なく、住宅とともに使い続けるということを認識して、後悔のないサイクルポートを選ぶようにしましょう。
お住まいの環境や家族構成などによっても正しいサイクルポートの種類や設置位置などが異なってきますので、意外と悩むこともあるかと思います。そんなときには、あまり深く考えすぎずにエクステリア工事会社やリフォーム会社にご相談されてみてください。
サイクルポートを選ぶポイント
- サイクルポートには工事が必要なタイプ(2本柱、4本柱、囲い、ガレージ)と工事が不要なタイプ(折りたたみ、テント)がある。
- 工事が必要なタイプの設置費用は、2本柱タイプで約141,000円~、4本柱タイプで約227,000円~、囲いタイプで約288,000円~、ガレージタイプで約334,000円~。
- 工事が不要なタイプの設置費用は、折りたたみタイプで約1.0万円~、テントタイプで約1.3万円~。
- 工事必要タイプ=長期的に安心・快適に使いたい方向け。
- 工事不要タイプ=短期的にコストパフォーマンス良く使いたい方向け。
- サイクルポートの幅は200cm以上のものがおすすめ。
- サイクルポートの奥行は「80cm×自転車の台数」が目安。
- 柱の高さは特別な理由などがなければ180~190cm程度のものを選ぶ。
- 耐侯性能は自分の地域に適した能力のものを選ぶ。
- 設置場所は使い勝手の良い動線上に置く。道路側からは見えないように、リビング側からは見えるようにすると防犯性が高まる。